
クーリングオフしたいけど、まだ間に合うのかな。
クーリングオフ期間の数え方は、契約した日からではなく、クーリングオフについての書面を受け取った日から数えます。
私もエステの無料体験をして、本契約に踏みきり、何十万円というお金を振り込むのはとても勇気がいりました。
しかし、クーリングオフの制度について教えてもらい、安心した記憶があります。
この記事では、クーリングオフ期間の数え方、クーリングオフできる取引できない取引、クーリングオフ期間を過ぎた場合、クーリングオフの具体的な方法についてご紹介します。
クーリングオフ期間の数え方は勘違いしやすいので、気が付けば「期限を過ぎていた!」なんてことになるかもしれません。
この記事を読んで、クーリングオフについて正しい知識を身につけましょう。
クーリングオフ期間の数え方は書面を受け取った日から
クーリングオフ期間の数え方は、契約した日からではなく、クーリングオフなどについて記載した契約書面を受け取った日から数えます。
具体的な例や注意点も交えて、クーリングオフ期間の数え方をご紹介します。
クーリングオフの起算日は契約した日からではない!
クーリングオフ期間の数え方は、契約した日からではありません。
クーリングオフについて記載した契約書面を受け取った日から数えます。
具体的な例を下図に記したので解説していきます。
クーリングなどの契約書面を受け取った日を1日とすると、1日目も数えるので、クーリングオフ期間が8日間であれば、1週間後の同じ曜日が期限になります。
また、クーリングオフ期間が20日間であれば、この例の場合20日になります。
クーリングオフ期間が8日間であった場合、1月1日に単純に8日を足して1月9日までが期限であると勘違いしてしまうケースがあります。
もう一度よく確認し、正しい期限を理解しておきましょう。
クーリングオフの契約書面は、すべて書面で渡す必要があり、口頭でのやり取りは不可とされています。
そのため、ほとんどの場合、契約前に販売会社からクーリングオフについての契約書面をもらうことになります。
渡された書面があるはずなので、今一度ご確認ください。
また、クーリングオフの書面は手渡し、または郵便や宅配で届けられます。
クーリングオフ期間内にハガキが届かなくてもOK!
クーリングオフの意向を伝える書面の消印が期間内であれば、販売会社やクレジット会社に届くのは期限が過ぎてからでも問題ありません。
クーリングオフは発信主義がとられており、「書面を発した時にその効力を生ずる」と規定されているため、期限内に相手方に届くかどうかは関係ありません。
ただし、クーリングオフの意向を伝える書面は期限内に出す必要があります。
そのため、期限内に差出した証拠を残すため「特定記録郵便」や「内容証明郵便」など郵便局への差出日が記録される方法を利用しましょう。
ポストに投函する方式では、差出した日が記録されずトラブルになる可能性があります。
トラブル防止の観点から、差出日が記録される方式で郵送しましょう。

期限内に書面を出した証拠をちゃんと残しておく必要があるのね。
電話勧誘のクーリングオフ起算日に注意
電話勧誘についてのクーリングオフ起算日は、申込書や契約書にサインしていなくても「郵送されてきた書類を受け取った日」からカウントする場合があります。
契約時には、電話勧誘業者からいつ、どのような書類が送られてきたのかを確認し、放置することがないようにしましょう。

書類に契約していなくてもクーリングオフに関する書類が送られてきたら、その日から数えるのね。

契約する可能性がある時は、書類にちゃんと目を通す必要があるね。
クーリングオフの期間は通信販売にはない!
そもそも通信販売にはクーリングオフは適用されません。
そのため、購入前に返品についての対応をよく確認する必要があります。
通信販売業者は返品特約(返品の可否、返品の条件、返品送料負担の有無など)を広告に明示する必要があり、していない場合は契約を解除できます。
通信販売で返品したい商品があるけれど、クーリングオフの適用外だからとお困りのあなたは、返品特約についての記載を今一度ご確認ください。
またネット販売の場合は最終申し込み画面にも返品特約の表示が必要です。
この特約の表示がされていない場合は、商品を受け取った日から8日間は返品(契約解除)が可能です。
ただし、その際の返品送料は購入者負担になります。
クーリングオフ期間でも店舗販売などは対象外!
クーリングオフ期間でも店舗販売で購入した場合などは対象外になります。
クーリングオフには、クーリングオフ対象である取引とそうでない取引があり、取引内容によってクーリングオフできる期間も変わってきます。
今悩んでいる取引内容がクーリングオフの対象内なのか、期間は何日あるのか確認していきましょう。
クーリングオフができない取引は店舗販売など
クーリングオフに適用されない取引は、次の通りです。
- 店舗販売で購入した取引
- 通信販売で購入した取引
- 3,000円未満の現金取引
- 葬儀
- 指定された消耗品(健康食品、化粧品、入浴剤、洗剤、生理用品、防虫剤、脱臭剤など)を使用した場合
- 電気通信サービス
また、以下のサービスはキャッチセールスによるものでもクーリングオフは適用されません。
- 海上タクシー
- 飲食店での飲食
- あん摩、マッサージ、指圧
- カラオケボックス
キャッチセールスはクーリングオフが適用されますが、上記の取引は適用外になるため注意してください。
クーリングオフできる取引と期間について
クーリングオフができる取引とその期間は、次の通りになります。
取引内容 | クーリングオフ期間 | どの法令に基づいているか |
訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールスなど) | 8日間 | 特定商取引に関する法律 |
電話勧誘販売 | 8日間 | 特定商取引に関する法律 |
特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚情報提供サービスなど) | 8日間 | 特定商取引に関する法律 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 20日間 | 特定商取引に関する法律 |
業務提供誘引販売取引(資格商法、内職商法、在宅ワーク、モニター商法など) | 20日間 | 特定商取引に関する法律 |
個別クレジット(訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供) | 8日間 | 割賦販売法 |
個別クレジット(連鎖販売取引、業務提携誘引販売取引) | 20日間 | 割賦販売法 |
生命・損害保険契約(店舗以外での契約期間1年を超える契約) | 8日間 | 保険業法 |
宅建業者が自ら売主となる宅地建物取引(事務所以外の場所での契約) | 8日間 | 宅地建物取引業法 |
投資顧問契約(投資顧問業者との投資顧問契約) | 10日間 | 金融商品取引法 |
預託等取引契約(現物まがい商法) | 14日間 | 特定商品等の預託等取引契約に関する法律 |
ゴルフ場の会員契約(50万円以上の契約) | 8日間 | ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律 |
冠婚葬祭互助会契約(冠婚葬祭互助会の入会契約) | 8日間 | 業界標準約款(社団法人全日本冠婚葬祭互助協会) |
基本的には8日間が多いですが、取引内容によっては10日、20日と期間が変化することが分かります。
一部の販売店では、消費者に有利になるよう、自主的に特約でクーリングオフ期間を延長している場合があるので、念のため契約書を確認してみましょう。
クーリングオフは消費者が頭を冷やすチャンス
クーリングオフは、訪問販売、電話勧誘販売といった特定の契約について消費者保護の目的から一定期間内であれば、無条件で解約できる制度です。
本来、一度した契約を勝手に取りやめることはできません。
しかし、訪問販売やキャッチセールスなどは、消費者にとって不意打ちのことであり、よく考える期間がなく契約をするための情報が不足しています。
そのため、クーリングオフは、こうした取引について頭を冷やし考え直す期間を消費者に与え、一定期間内であれば理由を問わずに無条件に契約を取り消すことが出来る制度なのです。
ただし、先述したようにすべての契約がクーリングオフ出来るわけではなく、消費者が自ら店舗に出向いて購入するなど、自発的に契約している場合はクーリングオフ出来ません。
突然のことで、その場では良いと思い、勢いで契約してしまったこと、ありませんか?
後々考えてみると、やっぱりやめておきたいと思ったり、家族に相談すると反対されてしまったり…そんな時にクーリングオフ制度は利用できるのです。

その場ではいいと思って勢いで契約してしまったことあるわ。
クーリングオフ期間過ぎたらどうすればいいの?
クーリングオフ期間を過ぎていても、契約解除できるケースがあります。

クーリングオフ期間過ぎたらどうすればよいのでしょう。
契約解除したいのにクーリングオフ期間が過ぎたら焦ってしまいますよね…。
クーリングオフ期間を過ぎていても、期間を延長、契約を解除できるケースがあるのに、知らなければ泣く泣く契約してしまうことになります。
3つのケースにまとめたので、ご自身のケースに当てはまるかチェックしてみてください。
〈1.勧誘の際に事実とは異なる説明をされたケース〉
事業者が勧誘の際に、契約をするかどうかを決める重要な要素について嘘の説明をした場合契約を取り消すことができます。
事実と異なることに気づいたときなどから1年以内、または契約締結時から5年以内であれば、契約を解除することができます。
本当は修繕する必要がないにもかかわらず、シロアリ工事や屋根の雨漏り工事が必要と言われて契約をしてしまった場合などが該当します。
相手方が悪質業者だと考えられる場合には、国民生活センターや消費生活センターなどの公的機関や弁護士などの専門家のアドバイスをうけてから対応した方がよいでしょう。
〈2.商品を大量に購入したケース〉
一度に常識的とはいえない大量の商品を購入させられてしまった場合には、契約から1年以内であれば契約解除ができます。
1人暮らしの状況下で羽毛布団を20セット買わされてしまった場合などが該当します。
訪問販売や電話勧誘販売などは、突然サービスを提案され、よく考える時間がありませんよね。
気づいたら必要以上の数を買わされていたとしても、上記のケースであれば契約を解除できるので安心してください。
〈3.長期間の契約をしたケース〉
エステや学習塾など長期間の契約をした場合には、クーリングオフ期間が過ぎてしまっても、まだサービスを受けていない残りの契約について解除が可能です。
学習塾を退会する場合、まだ受けていない授業の代金について返金を請求できます。
ただし、一定の違約金を負担する場合があるのでご注意ください。
また契約書が送られてこない場合には、クーリング・オフの起算日が存在しないことになり、いつでもクーリング・オフを行うことができます。
クーリングオフ期間が過ぎたら、必ずしも契約を結ばなければならないわけではないことがわかりました。
クーリングオフ期間を過ぎていても、まずは落ち着いて自分の状況を整理してみてください。
上記のケースに該当する場合には、クーリングオフ期間が延長、契約を解除できます。
クーリングオフ期間までにハガキを郵便で差出す方法
クーリングオフはクーリングオフ期間内にハガキなどの書面で行うことが法律で決められています。
クーリングオフについての手順は次の通りです。
- ハガキなどの書面を用意する
- 契約年月日、商品名、販売会社名を書いて、契約解除する旨を書く
- 送り主の住所、氏名を書く
- 記入後、証拠を残すために両面をコピーする
- クーリングオフ期間内に郵便窓口で特定記録郵便や内容証明郵便、簡易書留など「出した日付」が分かる方法で出し、特定記録便物受領証などの紙を保存する
相手方にはクーリングオフ期間内に届く必要はありませんが、ハガキを差出すのはクーリングオフ期間内でなければなりません。
トラブル防止のためにも、クーリングオフをしたい内容が書かれたハガキをいつ出したのか証拠を書面で残しておきましょう。
正しいハガキの郵便方法を知り、円滑にクーリングオフを利用したいですね。
まとめ
- クーリングオフ期間の数え方は、契約した日からではなく、クーリングオフについて記載した契約書面を受け取った日から数える
- クーリングオフ期間の数え方は、契約当日を数え忘れるケースに注意する
- クーリングオフの意向を伝える書面の消印が期間内であれば、販売会社やクレジット会社に届くのは期限が過ぎてからでも問題ない
- 電話勧誘についてのクーリングオフ起算日は、申込書や契約書にサインしていなくても「郵送されてきた書類を受け取った日」から数える場合がある
- クーリングオフ適用外の取引は、店舗での購入、通信販売、現金3,000円未満の取引などである
- クーリングオフが適用される取引は、訪問販売やキャッチセールス、エステ、学習塾などの取引である
- クーリングオフは、訪問販売、電話勧誘販売といった特定の契約について消費者保護の目的から一定期間内であれば、無条件で解約できる制度である
- クーリングオフ期間を過ぎていても、事実とは異なる説明をされた、商品を大量に購入した、長期間の契約をしたなどのケースであれば契約解除できる
- クーリングオフはハガキなどの書面で行うことが法律で決められている
クーリングオフ期間の数え方は、クーリングオフについての書面を受け取った日から数えることが分かりました。
今されている契約のことでモヤモヤした気持ちを抱いているのならば、後悔しないうちに、クーリングオフの制度を利用してみても良いかもしれません。
あなたとサービス提供者がお互い納得した上で気持ちよく取引したいですね。